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スペクトロニクス株式会社のホームページへお越し頂き、ありがとうございます。

弊社の社長をしている岡田穣治と申します。

 

(前回のつづき)

初めての自社独自商品である「波長532nm、平均出力3Wのナノ秒パルスレーザー発振器」を喜び勇んでお客様に持って行ったのですが、既にお客様のニーズはその先に行ってしまっていたようで、

「ナノ秒パルスレーザーよりも、もっとキレイな加工ができるレーザーじゃないと採用できないヨ!

劇的に安くしてくれるんだったら話は別だけど…」
と宣告されてしまい、非常に大きなショックを受けた記憶が今でも鮮明に残っています。

 

ベンチャー起業を経営をする上で一番大切な事…、それは、
「顕在化したニーズに基づいて事業をやるのではなく、潜在的なニーズを察知した上でお客様の期待を超えなければならない!」

と言う、当たり前の事が出来ていなかったと言う訳です。

 

お客様が”期待する以上”の結果を出せる独自商品で事業をする難しさは「頭」では理解していたつもりだったのですが、「早く製造メーカーになりたい!」という自分の気持ちを満足させるために安易に事業(この場合は新製品の開発)を進めてしまっていた自分に気付き、経営者として本当に未熟だったと猛省しました。

 

家族との時間や寝る時間を削って必死で初めての自社商品であるレーザー発振器を一緒に開発して来たメンバーに対しても、本当に申し訳無い気持ちで一杯でした。異常な盛り上がりの中で製品化を進めて来たので、それまでの活動が無意味だった事実を突き付けられた時は尚更辛くて惨めでした。

 

創業時の”夢”でもあったレーザー発振器メーカーになるためには、複数のお客様が共通して”コレは本当に欲しい!”と思う製品をタイムリーにリリースして行かなければならない事を改めて心に刻み、その後はより市場ニーズに合致したナノ秒パルスレーザー発振器を独自商品として販売して参りました。

 

しかし、ナノ秒パルスレーザー発振器を販売する中で、複数のお客様から更に「高品質な材料加工をしたい!」という要望を数多く伺うようになって参りましたので、「究極の微細加工を可能とするSolutionをレーザー技術で提供しよう!」とする会社方針の下、その後はお客様からのお仕事の受け方や、自社製品のR&Dや開発の方針を少しずつ変えて行きました。

このような方針転換の中から、”微細加工”に非常に適した「ピコ秒ハイブリッドレーザー技術」という独自技術を開発するに至りました。

 

この新技術はピコ秒パルスレーザーに幾つかのユニークな特徴を持たせる事が可能だった事から、弊社はその後、主に先端製品に利用される”機能材料への高品質 & 高速加工”を実現する「ピコ秒パルスレーザー発振器」の事業に特化して行く事になります。
(つづく…)